網膜とは、眼球の最も内側にある薄い膜状の組織で、カメラで言えば「フィルム」に相当する部分です。
外から入った光を感知し、視神経を通して脳に情報を伝える役割を担っています。


網膜は約0.1〜0.5mmほどの薄い膜で、10層構造となっていて、9層からなる神経網膜と、1層の網膜色素上皮から構成されています。
神経網膜の各層には、以下の細胞が働いています:
1.視細胞層
- ◼︎ 光を感じる細胞が存在
- ◼︎ 桿体細胞:暗い場所での視覚を担当
- ◼︎ 錐体細胞:色覚や明るい場所での視覚を担当
2.双極細胞・水平細胞・アマクリン細胞
- ◼︎ 視細胞が受け取った情報を整理し、視神経に伝える中継・調整役
3.視神経節細胞
- ◼︎ 整理された情報を視神経に送る
網膜の主な役割は 「光を感じて電気信号に変換し、脳へ伝えること」 です。
カメラに例えると レンズ(角膜・水晶体)で光を集め、フィルム(網膜)で像を記録する イメージです。
具体的には次のような働きをしています:
1.光を感知する
◼︎ 網膜にある視細胞(桿体細胞・錐体細胞)が光を受け取ります。
- ⚫︎ 桿体細胞:暗いところで活躍(明暗を感じる)
- ⚫︎ 錐体細胞:明るいところで活躍(色や細かい形を識別)
2.光を電気信号に変換する
- ◼︎ 視細胞は光を受けると神経信号(電気信号)に変換します。
- ◼︎ この信号は双極細胞・水平細胞・アマクリン細胞で整理されます。
3.視神経を通して脳に伝える
- ◼︎ 最終的に視神経節細胞が信号をまとめ、視神経を通して脳の後頭葉(視覚野)へ送ります。
- ◼︎ 脳がその情報を処理して、私たちは「見えた」と認識します。
網膜の代表的な病気は以下のとおりです。
- ◼︎ 網膜剥離:神経網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまう状態。
- ◼︎ 加齢黄斑変性:中心視力が低下する。高齢者に多い。
- ◼︎ 糖尿病網膜症:糖尿病により血管が障害され、視力が低下。
- ◼︎ 網膜色素変性症:遺伝的に進行性の視覚障害。
非常に繊細で、病気が進行すると視力に直結するため、眼科での定期検診が大切です。