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目の疾患について 〜 加齢黄斑変性 編 〜

アイクリニック東京グループでは、様々な目の疾患について、皆様に少しでも理解を深めていただけるコンテンツを用意しました。
今回は、〜 加齢黄斑変性 編 〜 です。

■加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)

【原因・病態】

加齢黄斑変性は、加齢に伴って黄斑部に変化が生じ、見たいところが見えにくくなる疾患です。黄斑部は網膜の中心に位置し、視力の鮮明さや細かな視覚情報の処理に重要な役割を果たしています。
加齢黄斑変性は欧米では失明原因が1位の疾患ですが、日本では以前までは比較的少ないと言われていました。しかし、人口の高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加しており、失明原因の第4位となっています。50歳以上の人の約1%にみられ、高齢になるほど多くみられます。
発症には、遺伝子要因、環境要因など複数の因子が関与していると考えられていますが、主な要因としては加齢、喫煙、高血圧、高コレステロール、肥満、食生活などが挙げられます。

加齢黄斑変性は主に2つのタイプに分けられます。

◎滲出型
滲出型は、黄斑部に異常な血管である新生血管が発生し、網膜が障害される病気です。この新生血管はもろく、破れやすいので、血液の成分を漏出させたり、血管が破れたりします。血液の成分が漏出すると網膜がむくんだり、網膜下に液体が溜まることで視力が低下します。血管が破れると出血となり網膜を障害します。

加齢黄斑変性についての画像1

加齢黄斑変性についての画像1

◎萎縮型
萎縮型は、網膜が徐々に萎縮していき、網膜が障害され視力が徐々に低下していく病気です。
欧米人では滲出型と萎縮型の頻度は同程度ですが、日本人では萎縮型はまれです。

【症状】

主な症状には、物が歪んで見える、模様や線がかすんだり歪んだりすることなどがあります。症状が進行すると、真ん中が見えなくなり、視力が低下することがあります。
しかし、初期段階では症状がほとんどないこともあり、自覚症状が現れるのはある程度進行してからの場合もあります。
自覚症状を確認するのに、前回の黄斑前膜編でご紹介しました「アムスラーチャート」という自己チェックシートがあります。(詳細は黄斑前膜編をご参照ください)

加齢黄斑変性についての画像2

加齢黄斑変性についての画像2

【治療】

加齢黄斑変性は進行性の疾患であり、早期発見と適切な管理が重要です。治療法は症状のタイプに応じて異なりますが、早期の加齢黄斑変性に対しては、禁煙や食生活改善の指導、サプリメントの摂取の推奨などを行います。
滲出型では、新生血管の発生に関係している血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)を阻害することにより新生血管を退縮させる抗VEGF療法が治療の第一選択になります。 VEGF阻害薬を硝子体内に投与する治療法です。治療を継続することで視力の維持、改善が期待できます。初めて治療する場合は、月に一度の投与を3ヶ月間続け連続投与します。その後は薬剤の種類や病状により投与期間を決定します。薬剤の効果が切れてくると疾患の活動性が再熱することが多い為、基本的には継続した治療が必要になります。
滲出型の治療には抗VEGF療法以外に光線力学的療法(PDT: photodynamic therapy)があります。薬剤を静脈内投与し、その後、光感受性薬剤が黄斑部の新生血管部分に集まり、レーザー光を照射することで新生血管を破壊します。
萎縮型では残念ながら現在のところ治療方法はありません。

【総括】

加齢黄斑変性は、一度発症すると完全に治癒することはなく、進行性の疾患であるため治療を受けた後でも、進行を完全に止めることは難しく、定期的な眼科検査と管理が重要です。早期発見と適切な治療により、視力を維持、改善することができる可能性があります。定期的な眼科検診や視力検査を受けることが、早期の加齢黄斑変性の発見と管理に役立ちます。

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