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【コラム】コンタクトレンズとドライアイの関係:
症状・リスク・根本的解決法

目の乾きや違和感を感じながらもコンタクトレンズを使い続けていませんか?その症状、もしかしたらコンタクトレンズが原因のドライアイかもしれません。日本では約800万〜2,000万人がドライアイに悩んでおり、コンタクトレンズ使用者(約1,500万〜1,800万人)の多くが知らず知らずのうちにドライアイのリスクを高めています。

この記事では、コンタクトレンズがどのようにドライアイを引き起こすのか、その症状とリスク、そして根本的な解決策までを医学的根拠とともに解説します。一時的な対処法から長期的な視力矯正の選択肢まで、あなたの目の健康を守るための情報をわかりやすくお伝えします。

1. なぜコンタクトレンズでドライアイになるのか?

コンタクトレンズの装用がドライアイを引き起こす原因は、涙の膜(涙液層)への影響にあります。

コンタクトレンズがもたらす涙の変化

コンタクトレンズを装着すると、以下のような変化が起こります。

  • ・ 涙液層の薄化・不安定化:ソフトコンタクトレンズは角膜を覆う涙液層を薄くし、涙の蒸発を早めます
  • ・ 脂質層の拡散遅延:まばたきによる涙の脂質(油分)の広がりが妨げられます
  • ・ レンズ表面の濡れ性低下:時間の経過とともにレンズ表面が乾きやすくなります

これらの変化により、涙が目の表面から蒸発するまでの時間(涙液破壊時間)が短くなり、「コンタクトレンズ関連ドライアイ」を引き起こします。

ドライアイのリスクファクター

研究によると、コンタクトレンズの使用はドライアイ発症リスクを男性で3.84倍、女性で3.61倍に高めることがわかっています。さらに、以下の要因も関係しています。

  • ・ VDT作業(パソコンやスマホの使用):デジタル機器を使用する作業者の58.5%がドライアイと診断されています
  • ・ 年齢:50歳以上でリスクが上昇
  • ・ 性別:女性はホルモンバランスの影響でリスクが高い
  • ・ 装用時間:長時間の装用はリスクを増加させます

ポイント:コンタクトレンズ使用者の約50%が何らかのドライアイ症状を経験しており、そのうち10〜50%は3年以内に不快感からコンタクトレンズの使用を中止しています。

2. コンタクトレンズ由来ドライアイの症状は?

コンタクトレンズによるドライアイには、特徴的な症状があります。以下のチェックリストで自己診断してみましょう。

自分でできるドライアイチェック

  • □ 乾燥感・異物感:目が砂を入れたように痛い、ゴロゴロする
  • □ 目の疲れ・重さ:特に夕方から夜にかけて悪化する
  • □ かすみ目:視力が安定しない、ぼやけて見える
  • □ 充血:目の白い部分が赤くなる
  • □ 痛み・灼熱感:装用時間が長くなるほど悪化
  • □ 光がにじむ:ハロー現象(光の周りに輪っかが見える)
  • □ 装用時間の短縮:以前より短い時間で不快感を感じる

ポイント:これらの症状が複数当てはまる場合、コンタクトレンズ関連ドライアイの可能性が高いです。特に、レンズを外すと症状が改善し、再度装着すると悪化するパターンは典型的な特徴です。

重症度の目安

重症度 症状 日常生活への影響

軽度
乾燥感・異物感が時々ある ほぼ支障なし

中等度
乾きが頻繁に起こり、目の疲れが強い 作業効率低下、装用時間制限

重度
痛み・かすみ目が常にある、レンズ装用困難 QOL(生活の質)の低下

早期発見・早期対応が重要です。症状を放置すると徐々に悪化し、さらに深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

3. ドライアイでコンタクトレンズ着用したときのリスク

ドライアイの症状があるにもかかわらずコンタクトレンズの使用を続けると、以下のようなリスクが高まります。

短期的なリスク

  • ・ 装用感の悪化: 痛み・不快感の増強
  • ・ 視力の不安定: かすみ目や視力変動
  • ・ レンズの乾き: レンズが目に張り付く感覚

長期的な健康リスク

  • ・ 細菌性結膜炎: 涙液の防御機能低下により感染リスクが上昇
  • ・ 眼瞼炎:まぶたの炎症
  • ・ 角膜浸潤:角膜に炎症性の斑点ができる
  • ・ 角膜上皮障害:角膜表面の細胞が傷つく
  • ・ マイボーム腺機能不全:まつげの根元にある油分を分泌する腺の機能低下

ポイント:ドライアイは単なる不快感ではなく、目の健康に関わる医学的な問題です。適切な対処を行わないと、視力に影響を与える合併症のリスクが高まります。

4. 一般的な対処法とその限界

ドライアイに対して一般的に行われる対処法には、以下のようなものがあります。

目薬(点眼薬)による対処

日本眼科学会のガイドラインでは、コンタクトレンズ由来のドライアイに対して、防腐剤無添加人工涙液やヒアルロン酸点眼が推奨されています。

使用時の注意点:

  • ・ コンタクトレンズ装着中は、防腐剤無添加人工涙液を使用しましょう
  • ・ 一般的な点眼薬はレンズ装着前に使用し、10〜15分待ってからレンズを装着してください
  • ・ 防腐剤を含む目薬はレンズや目に影響を与えたりする可能性があります

ポイント:目薬は一時的な症状緩和には効果的ですが、根本的な原因(コンタクトレンズの装用)を取り除かない限り、効果は限定的です。研究によれば、点眼などの対処療法だけでは根本解決にならないことが示されています。

レンズの種類変更

材質や含水率の異なるレンズに変更することで、症状が改善する場合があります。

選択肢:

  • ・ シリコーンハイドロゲル: 酸素透過性が高く、乾きにくい特性がある
  • ・ 1日使い捨てタイプ:レンズの汚れが蓄積しにくい
  • ・ 強膜レンズ:重症ドライアイの場合、涙液を貯留できる特殊なレンズが効果的な場合も

ポイント:コクランレビュー(高品質の医学的証拠を集めた研究)によると、シリコーンハイドロゲルと従来のハイドロゲルでドライアイ症状改善に明確な差がないという結果が出ています。つまり、レンズ変更だけでは根本的解決にならないケースが多いのです。

装用時間の短縮

コンタクトレンズの装用時間を減らし、定期的にメガネに切り替えることで症状を軽減できます。

推奨事項:

  • ・ 1日の装用時間を8時間以内に制限する
  • ・ 週に1〜2日はコンタクトレンズを装用せず目を休ませる
  • ・ 目に負担がかかる環境(乾燥した場所、長時間のVDT作業など)ではメガネを使用する

ポイント:装用時間の短縮は効果的ですが、視力矯正の自由度が制限され、ライフスタイルや仕事に影響する場合があります。多くの方にとって、これは一時的な対処法にすぎません。

5. 根本解決への3つの選択肢【眼鏡・レーシック・ICL】徹底比較

ドライアイの根本的な解決には、コンタクトレンズの使用を減らすか中止する必要があります。以下の3つの選択肢を比較してみましょう。

眼鏡への切り替え

メリット:

  • ・ 最もシンプルで安全な選択肢
  • ・ ドライアイのリスクがない
  • ・ コスト面で比較的安価

デメリット:

  • ・ スポーツや活動的な場面では不便
  • ・ 視野の制限がある
  • ・ 外見の変化が気になる方も

レーシック手術

レーシックはエキシマレーザーで角膜を削り、屈折異常を矯正する手術です。

メリット:

  • ・ コンタクトレンズが不要になる
  • ・ 短時間の手術で回復も早い
  • ・ 高い満足度(適切な症例選択の場合)

デメリット:

  • ・ ドライアイのリスク。 レーシック後ドライアイは最も頻発する合併症(発生率4%〜60%以上)で、角膜神経の切断が主な原因となる
  • ・ 術前からドライアイがある場合、症状が悪化する可能性が高い
  • ・ 角膜が薄い場合は適応外となる場合がある

ポイント:既にドライアイに悩んでいる方にとって、レーシックはドライアイを悪化させるリスクがあるため、必ずしも最適な選択肢とは言えません。

ICL(有水晶体眼内レンズ)

ICLは角膜を削らず、眼内に特殊なレンズを挿入する手術です。

メリット:

  • ・ 角膜神経を切断しないため、ドライアイのリスクが極めて低い(術後ドライアイ発生率は0.6%程度)
  • ・ 強度高度近視や乱視も矯正可能
  • ・ 角膜が薄い方でも適応できる場合が多い
  • ・ 必要に応じて将来的に取り外し可能

デメリット:

  • ・ レーシックに比べてコストが高い
  • ・ 眼内手術のため、より専門的な医療機関での手術が必要

ポイント:重度のドライアイ患者ではレーシックが適応外となる場合がありますが、ICLはそのような方でも検討できる視力矯正手術です。

6. なぜICLがドライアイ患者に最適なのか?3つの医学的根拠

コンタクトレンズによるドライアイに悩む方にとって、ICLが最適な選択肢である理由を医学的根拠とともに解説します。

角膜神経を温存する手術法

ICLは角膜にほとんど傷をつけない手術です。角膜には非常に密な神経ネットワークがあり、これが涙の分泌や目の表面の健康を維持する上で重要な役割を果たしています。

レーシックでは角膜にフラップを作成し、角膜実質を削るため、多くの角膜神経が切断されます。これがレーシック後ドライアイの主要因です。一方、ICLでは角膜神経が温存されるため、涙の分泌機能への影響が最小限に抑えられます。

術後ドライアイの発生率の低さ

FDA(米国食品医薬品局)の承認データによると、EVO+ICL術後のドライアイ有害事象発生率はわずか0.6%と報告されています。これはレーシックの術後ドライアイ発生率(4%〜60%以上)と比較すると、極めて低い数値です。

ドライアイに悩むコンタクトレンズ使用者にとって、手術後にドライアイが悪化するリスクが低いことは非常に重要なポイントです。

既存のドライアイ患者でも適応可能

重度のドライアイはレーシックの適応外となる場合がありますが、ICLはそのような患者でも検討可能な視力矯正手術です。専門医の症例報告によれば、術前治療で改善しない乾燥例でもICLが有力な代替手段となることが示されています。

既にドライアイに悩んでいる方でも、ICLであれば視力矯正の可能性が広がります。

7. 医療機関受診のすすめ

コンタクトレンズによるドライアイの症状がある場合、自己判断での対処には限界があります。以下のような場合は、早めに眼科医の診察を受けることをお勧めします。

  • ・ ドライアイの症状が2週間以上続く
  • ・ 目薬を使用しても症状が改善しない
  • ・ 痛みや充血が強い
  • ・ 視力の変化を感じる
  • ・ コンタクトレンズの装用感が急に悪化した

眼科医はスリットランプと呼ばれる特殊な顕微鏡や涙液検査などを通じて、あなたのドライアイの状態を正確に診断し、最適な治療法を提案します。

コンタクトレンズによるドライアイは進行性の疾患であり、早期に適切な対処を行うことで、将来的な視力への影響を最小限に抑えることができます。

8. まとめ

コンタクトレンズの使用はドライアイのリスクを3〜4倍に高め、日本人のコンタクトレンズ使用者の約半数が何らかのドライアイ症状を経験しています。ドライアイのままコンタクトレンズを使用し続けると、細菌性結膜炎などの合併症リスクが高まります。

目薬やレンズ変更といった対症療法には限界があり、根本的な解決には、メガネへの切り替え、視力矯正手術の検討が必要です。特にドライアイに悩む方にとって、角膜神経を温存するICLは、ドライアイのリスクを最小限に抑えながら視力を矯正できる有望な選択肢と言えます。

あなたの目の状態に合った最適な選択をするために、専門医への相談をお勧めします。

9. よくある質問

Q1:ドライアイの症状があっても、短時間ならコンタクトレンズを使用しても大丈夫ですか?

A:軽度のドライアイであれば、装用時間を短縮することで症状を軽減できる場合もあります。ただし、医師の指導のもとで適切なレンズの選択や点眼薬の使用を行い、症状が悪化する場合は速やかに中止することが重要です。中等度以上のドライアイでは、コンタクトレンズの使用を避けることが推奨されます。

Q2:ドライアイに効果的な目薬はどのように選べばよいですか?

A:コンタクトレンズ使用者のドライアイには、防腐剤無添加の人工涙液やヒアルロン酸配合の点眼薬が推奨されます。個人の症状や使用するレンズの種類によって最適な目薬は異なるため、眼科医に相談することをお勧めします。

Q3:ICL手術はどのような人に適していますか?

A:ICLは特に以下のような方に適しています。

  • ・ コンタクトレンズによるドライアイに悩んでいる方
  • ・ 角膜が薄くレーシックに適さない方
  • ・ 強度近視や乱視がある方
  • ・ ドライアイのリスクを最小限に抑えながら視力矯正を希望する方

ただし、手術の適応には年齢や眼の状態など様々な条件があるため、詳細は眼科専門医の診察を受けることが必要です。

Q4:ドライアイを予防するためにコンタクトレンズ使用者ができることはありますか?

A:以下の対策が効果的です。

  • ・ 定期的に眼科検診を受ける(年に1〜2回)
  • ・ 装用時間を守り、就寝時は必ず外す
  • ・ こまめにまばたきを意識する(特にVDT作業時)
  • ・ 室内加湿や適切な水分摂取で体内外の湿度を保つ
  • ・ レンズのケア方法を正しく守る
  • ・ 定期的にメガネの日を設ける
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