「飛蚊症」という言葉は何となく耳にしたことがあっても具体的にどのようなものなのかは分からない、という方は多いのではないでしょうか。
飛蚊症は文字通り「虫が飛んでいる」ように見えるのが主な症状です。
白い壁や青空など明るいところで自覚しやすく、虫のようだったり上の写真のように黒いもやだったり見え方はさまざまです。
生理的飛蚊症
ほとんどは病的ではない生理的飛蚊症が多く、*硝子体のコラーゲン線維の残骸が*網膜に影として映ることにより自覚します。【図①】
また、老化現象で硝子体が収縮して網膜から剥がれることで起こる後部硝子体剥離でも飛蚊症を自覚することがあり、近視の方は眼球が長いのでより早期にこの現象が起こるといわれています。【図②③】
これらは基本的に誰でも起こりうる生理的なもので、レーザーを用いてこの浮遊物を取り除く「レーザービトレオライシス治療」というものがあります。
ビトレオライシス治療は、ほとんどが1回のレーザーでは全ての浮遊物を取り除くことはできないため2~3回のレーザー照射が必要です。
しかし、この治療はあくまで上記が原因の生理的飛蚊症に対しての治療で、病的な飛蚊症は適応外になります。
病的飛蚊症
病的な飛蚊症とは、硝子体に出血や炎症による混濁によって起こるものです。
一番代表的なものが*網膜剥離によるものです。
前述の後部硝子体剥離でうまく網膜から硝子体が剥がれないと網膜が破れてしまい、出血が硝子体に浮遊物として現れます。
その他に、*糖尿病網膜症などの網膜血管における障害が原因として挙げられます。
「急に大量の黒いもやが見えるようになった」「今までも飛蚊症はあったが、最近急激に増えた」などの症状がある場合は、放置すると失明してしまう可能性もあるので早めにお近くの眼科を受診しましょう。