目次
1. はじめに:最近話題の「眼内コンタクトレンズ」とは?
「毎朝のコンタクトレンズ装着が煩わしい」「長時間のパソコン作業で目が乾燥する」「災害時のために裸眼で動けるようにしておきたい」
そんな20代〜40代のビジネスパーソンや子育て世代の間で、近年急速に普及している視力回復手術が「眼内(がんない)コンタクトレンズ」です。
これは、目の中に小さなレンズを直接挿入して視力を矯正する治療法です。レーシックのように角膜(目の表面)を削らないため、見え方の質が高く、万が一の際はレンズを取り出して元の状態に戻せるという安心感から、多くの支持を集めています。
この手術を調べると必ず「ICL(アイシーエル)」という言葉が出てきますが、最近は「IPCL(アイピーシーエル)」という治療法も目にするようになりました。「名前は似ているけれど、一体何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
今回は、ICLとIPCLの具体的な違いについて、専門用語を極力控えて分かりやすく解説します。
2. そもそも「ICL」と「IPCL」って何のこと?
まずは、それぞれの名称が何を指しているのかを整理しましょう。
- ICL(アイシーエル)
アメリカのスター・サージカル社が製造している眼内コンタクトレンズのことです。日本で最も歴史と実績があり、広く認知されているレンズです。 - IPCL(アイピーシーエル)
インドのケアグループ社が製造している、もうひとつの眼内コンタクトレンズです。ICLに続いて登場した比較的新しいレンズです。
※解説:眼内コンタクトレンズの手術は、正式には「有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)挿入術」と呼ばれます。つまり、ICLもIPCLも手術そのものの名前ではなく、「レンズのブランド名(製品名)」の違いなのです。スマートフォンの「iPhone」と「Galaxy」の違いみたいなもの、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
3. ここが違う!ICLとIPCLの3つの大きな違い
では、具体的にどのような違いがあるのか、3つのポイントに分けて解説します。
違い①:レンズの「素材」と特徴
レンズを構成する材質に違いがあります。
ICLは「コラマー」という、コラーゲンを含んだ特殊な親水性(水になじみやすい)素材でできています。生体適合性が高く、目の中に入れても異物として認識されにくい非常に優れた素材です。
一方、IPCLは白内障手術のレンズなどでも長年使用されてきた「ハイブリッドアクリル」という素材で作られています。こちらも安全性や耐久性が高く、しなやかで目になじみやすい素材です。
違い②:対応できる「度数」の広さと老眼への対応
「強度の近視や乱視のため、レーシックはできないと言われた」という方でも適応しやすいのが眼内レンズの特徴ですが、その中でも作れるレンズの範囲に違いがあります。
ICLにも幅広い度数が用意されていますが、製造できる上限には限界があります。
一方のIPCLは、ICLよりもさらに強い近視や遠視に対応できるため、「ICLでは度数適応外だったけれど、IPCLなら手術可能」となるケースがあります。また、IPCLには40代以降に始まる「老眼」に対応した遠近両用の多焦点レンズ(老視矯正用レンズ)もラインナップされており、年齢に合わせた見え方の選択肢が豊富な点も大きな魅力です。
違い③:厚生労働省の「承認」実績と歴史
医療において、日本の「厚生労働省」が安全性と有効性を認めている(=承認している)かどうかは重要な判断基準です。
ICLは2010年という早い段階で厚生労働省の承認を受けており、国内だけでなく世界中で圧倒的な手術件数と長年の実績を誇ります。
一方のIPCLは、ヨーロッパなど海外では広く安全性が認められていたものの、日本では長らく未承認(医師の裁量による個人輸入での使用)でした。しかし、現在はIPCL(近視・乱視・遠視矯正用)も日本国内で厚生労働省の正式な承認を取得しています。
これにより、現在ではどちらを選んでも「国が認めた安全なレンズ」として安心して手術に臨むことができるようになりました。
4. 結局、私にはどっちのレンズが合っている?
それぞれの特徴を踏まえると、次のような選び方がひとつの目安となります。
【ICLがおすすめな人】
- 世界中で最も選ばれている、20年以上の長い歴史と圧倒的な実績を持つレンズを選びたい方
- どのレンズにするか迷っており、まずは王道の治療法から検討したい方
【IPCLがおすすめな人】
- 強度の近視や遠視があり、検査で「ICLの適応外」と言われてしまった方
- 老眼の症状が出始めており、遠近両用の眼内レンズ(多焦点レンズ)を検討したい40代前後の方
- 目の形(前房深度など)の理由で、自分の目にサイズがより細かく合うレンズを探している方
5. まとめ:最後は眼科専門医としっかり相談しよう!
簡単にまとめると、長年の歴史と実績がある王道が「ICL」、強度の度数や老眼対応など幅広いニーズに応え、新たに国の承認も得た選択肢が「IPCL」です。
視力回復手術は、これからの人生における生活の質(QOL)を大きく左右する大切な決断です。インターネットの情報だけで決めるのではなく、まずは両方のレンズを取り扱っている専門の眼科クリニックを受診してみましょう。
詳細な適応検査を受け、ご自身の目の形状やライフスタイル、年齢に最も適したレンズを、医師と一緒に見つけてください。









